2015年6月13日土曜日

姫路城マラソン開催による経済波及効果について(過大?)


2015年2月22日に開かれた世界遺産姫路城マラソンについて、姫路市は市内の経済波及効果が15億2000万円だったと発表がありました。
http://www.city.himeji.lg.jp/koho/press/_33150/_34067/_34264.html

第1回大会から、フルマラソンに市外から多くの観光客が訪れ、市内の宿泊施設は満室となり、市内で飲食、観光を楽しみ、経済効果が大きいイベントであったと思います。

しかし、市内の経済波及効果の15億円の算出根拠をみると、少々過大推計ではないかと思われます。

具体的に、下記のPDFファイルを参考に算出根拠を整理してみます。
 H27.5.19 世界遺産姫路城マラソン 2015 経済波及効果分析について (姫路市)
http://www.city.himeji.lg.jp/var/rev0/0071/6163/2015518144136.pdf

*****

平成27年2月21日~22日の間、世界遺産姫路城マラソン2015及びマラソン祭の来場者に宿泊費、交通費、土産購入費、飲食費の消費額等についてアンケートを行い、その平均値をマラソン来場者数に乗じ、平成22年姫路市産業連関表等を元に推計。
有効回答者数:1,385名

(1)観光入込客数
フルマラソン  6,034人
ファンラン  3,201人
沿道応援  115,000人
観光(マラソン祭)  90,000人
合計  214,235人

 一人あたり観光消費額
アンケート回答結果の有効回答について,平均値をとったもの。
宿泊  34,146円 (1)
日帰り 3,595円 (2)

宿泊/日帰り別 観光客数
宿泊      3,804人 (3)
日帰り  210,431人 (4)
※ 3,804人は市内宿泊施設の収容数。

観光消費総額
宿泊   (1)×(3)  34,146円×3,804人 = 129,891,384円
日帰り (2)×(4)  3,595円×210,431人 756,499,445
 合計 886,390,829円 (a)

大会の事業費 310,000,000円 (b) 

市内需要額(直接効果)(a)+(b) 1,196,390,829円 (c)
間接効果(1次+2次) 324,428,473 (d)
※姫路市産業連関表による
経済波及効果 (直接効果間接効果) (c)+(d)
1,520,860,922円 (約15億円)

*****

上記のような計算をしていますが、
日帰りの観光消費額の3,595円は、あくまでマラソン大会の会場に来てた人の平均値です。
沿道応援は、基本的には地元姫路市内の人で、近所で応援していると思われます。したがって、応援のためにお金を使うことはほとんどなく、3,595円は高すぎます。
私設エイドで大量に食料を準備される方がいるかもしれませんが、そのような人は限定されます。
また、沿道応援マラソン祭に訪れた人は、重複している可能性が高く、その点を考慮すると、沿道応援115000人分を経済効果に含めるべきではないと考えます。

沿道応援  115,000人×3,595円 = 413,425,000円

間接効果を含めると約5億円 (過大推計)

さらに
大会の事業費 3.1億円を全て姫路市内の経済効果として計上していますが、
タイム計測、警備、仮設トイレ、テントレンタル、給水、参加賞Tシャツ、弁当、貸切バス等
マラソン大会に関連する経費は様々ですが、それらを全て姫路市内の業者だけで成立するかといえば、なかなかそのようにはいきません。地元で賄えないものが、かなりあったと想定されます。

仮に、5割市内で発注できたとしても、
間接効果を含めると現在の推計より約2億円程度、過大であるおそれがあります。

以上を踏まえると、
約5億円+2億円=約7億円 過大推計
経済波及効果約8億円ぐらいが適当ではないかと想定されます。
それでも、十分大きな効果であったことには、違いありません。



経済波及効果は、どうしても数字ばかりに目がいきがちですが、中身を見て、どこをどう変えるべきか(1人当たりの消費額を増やす取り組み、市内調達を増やす取り組み等)を考えて行く事が大事だと思われます。

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マラソンの記録

【フルマラソン】

◆男子世界記録 2時間00分35秒 ケルビン・キプタム(ケニア) 2023年10月 シカゴマラソン (2分51秒5/km)

◆男子日本記録 2時間04分56秒 鈴木 健吾 2021年2月 びわ湖毎日マラソン(2分57秒7/km)

◆女子世界記録 2時間09分56秒 ルース・チェプンゲティッチ (ケニア) 2024年10月 シカゴマラソン (3分05秒/km)

◆女子日本記録 2時間18分59秒 前田穂南 2024年1月 大阪国際女子マラソン (3分18秒/km)

◆自己記録  3時間37分32秒 2013年12月 青島太平洋マラソン(5分09秒/km)


【100km】

◆男子世界記録 6時間05分35秒 Aleksandr SOROKIN (リトアニア)  2023年5月 Vilnius (LTU) (3分39秒/km)

◆女子世界記録 6時間33分11秒 安部 友恵 (日本) 2000年6月 サロマ湖100kmウルトラマラソン (3分56秒/km)

◆自己記録 12時間13分41秒  2009年6月 サロマ湖100kmウルトラマラソン(7分20秒/km)

記録

【ハーフマラソン】
◆男子世界記録
 57分30秒 Y.ケジェルチャ(エチオピア) 2024年10月(スペイン・バレンシア)(2分44秒/km)
◆男子日本記録 1時間00分00秒 小椋 裕介 2020年2月(香川丸亀国際ハーフ)(2分50秒6/km)
◆女子世界記録 1時間02分52秒 レテセンベト・ギデイ(エチオピア)2021年10月スペイン・バレンシアハーフマラソン (2:58.8/km)
◆女子日本記録 1時間06分38秒 新谷仁美 2020年1月 米国・ヒューストンハーフマラソン (3:09.5/km)
◆自己記録  1時間37分12秒 2013年11月 江東シーサイドマラソン(4分36秒/km)