2015年2月22日に開かれた世界遺産姫路城マラソンについて、姫路市は市内の経済波及効果が15億2000万円だったと発表がありました。
http://www.city.himeji.lg.jp/koho/press/_33150/_34067/_34264.html
第1回大会から、フルマラソンに市外から多くの観光客が訪れ、市内の宿泊施設は満室となり、市内で飲食、観光を楽しみ、経済効果が大きいイベントであったと思います。
しかし、市内の経済波及効果の15億円の算出根拠をみると、少々過大推計ではないかと思われます。
具体的に、下記のPDFファイルを参考に算出根拠を整理してみます。
H27.5.19 世界遺産姫路城マラソン 2015 経済波及効果分析について (姫路市)
http://www.city.himeji.lg.jp/var/rev0/0071/6163/2015518144136.pdf
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平成27年2月21日~22日の間、世界遺産姫路城マラソン2015及びマラソン祭の来場者に宿泊費、交通費、土産購入費、飲食費の消費額等についてアンケートを行い、その平均値をマラソン来場者数に乗じ、平成22年姫路市産業連関表等を元に推計。
有効回答者数:1,385名
フルマラソン 6,034人
ファンラン 3,201人
沿道応援 115,000人
観光(マラソン祭) 90,000人
合計 214,235人
一人あたり観光消費額
アンケート回答結果の有効回答について,平均値をとったもの。
宿泊 34,146円 (1)
日帰り 3,595円 (2)
宿泊/日帰り別 観光客数
宿泊 3,804人 (3)
日帰り 210,431人 (4)
※ 3,804人は市内宿泊施設の収容数。
観光消費総額
宿泊 (1)×(3) 34,146円×3,804人 = 129,891,384円
日帰り (2)×(4) 3,595円×210,431人 = 756,499,445円
合計 886,390,829円 (a)
大会の事業費 310,000,000円 (b)
市内需要額(直接効果)(a)+(b) 1,196,390,829円 (c)
間接効果(1次+2次) 324,428,473 (d)
※姫路市産業連関表による
経済波及効果 (直接効果+間接効果) (c)+(d)
1,520,860,922円 (約15億円)
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上記のような計算をしていますが、
日帰りの観光消費額の3,595円は、あくまでマラソン大会の会場に来てた人の平均値です。
沿道応援は、基本的には地元姫路市内の人で、近所で応援していると思われます。したがって、応援のためにお金を使うことはほとんどなく、3,595円は高すぎます。
私設エイドで大量に食料を準備される方がいるかもしれませんが、そのような人は限定されます。
また、沿道応援とマラソン祭に訪れた人は、重複している可能性が高く、その点を考慮すると、沿道応援115000人分を経済効果に含めるべきではないと考えます。
沿道応援 115,000人×3,595円 = 413,425,000円
間接効果を含めると約5億円 (過大推計)
さらに
大会の事業費 3.1億円を全て姫路市内の経済効果として計上していますが、
タイム計測、警備、仮設トイレ、テントレンタル、給水、参加賞Tシャツ、弁当、貸切バス等
マラソン大会に関連する経費は様々ですが、それらを全て姫路市内の業者だけで成立するかといえば、なかなかそのようにはいきません。地元で賄えないものが、かなりあったと想定されます。
仮に、5割市内で発注できたとしても、
間接効果を含めると現在の推計より約2億円程度、過大であるおそれがあります。
以上を踏まえると、
約5億円+約2億円=約7億円 過大推計で
経済波及効果約8億円ぐらいが適当ではないかと想定されます。
それでも、十分大きな効果であったことには、違いありません。
Posted by 世界遺産姫路城マラソン実行委員会 on 2015年2月21日
経済波及効果は、どうしても数字ばかりに目がいきがちですが、中身を見て、どこをどう変えるべきか(1人当たりの消費額を増やす取り組み、市内調達を増やす取り組み等)を考えて行く事が大事だと思われます。
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