第1回さいたま国際マラソン |
11/13に第2回さいたま国際マラソンが開かれました。
昨年から制限時間が4時間から6時間に緩和されて、参加定員も1万5000人と大幅に拡大して行われました。
しかし、現状は、協賛金が思うように集まらず、参加料の大幅値上げ(10800円→15000円)、さいたま市の負担金が昨年より倍増するなどして、ようやく開催にこぎつけましたが、次回以降、開催されるのか。かなり厳しい状況に追い込まれているように思われます。
具体的に現状の問題点を調べてみました。
1.さいたま市の負担金が国内大会最大の2億8000万円
東京マラソンをはじめ都市型マラソン大会のほとんどは、自治体からの負担金、つまり税金が投入されて運営されています。
東京マラソンは、東京都が1.1億円
大阪マラソンは、大阪府と大阪市が9000万円ずつ 計1.8億円
横浜マラソンは、横浜市が1億円、神奈川県が3000万円
等々で、
全体の傾向として、1自治体が負担する額は、多くても年1億円強というのが、現状ですが、今年のさいたま国際マラソンでは、さいたま市が3億円に近い負担をしています。
さいたま市の負担金
2014年度 さいたまシティマラソン(ハーフマラソン、1万人規模) 7000万円
2015年 第1回さいたま国際マラソン(フル・5千人規模)約1億5000万円
2016年 第2回さいたま国際マラソン(フル・1万6千人規模)約2億8000万円
参考:平成 27 年度財政援助団体監査等結果報告の提出について(大阪マラソン)
http://www.city.osaka.lg.jp/gyouseiiinkai/cmsfiles/contents/0000343/343521/28-17.pdf
追記11.19 この他、2016年大会、埼玉県は約5500万円支出しています。
追記11.19 この他、2016年大会、埼玉県は約5500万円支出しています。
これでは、継続的に開催することが非常に難しい状況です。
どうして、そうなったのでしょうか。
2.国内のトップ選手が集まらない
日本人の招待選手は、4人共に今年の名古屋ウィメンズマラソンにエントリーしましたが、一般参加での出場で、吉田選手は欠場、小田切選手の2時間35分台の28位が最高で、今回5位に入った那須川選手は2時間40分台で37位でした。(今回、那須川選手の健闘で、日本選手が放送時間内に1人もゴールできないという事態は回避できました。)
2016名古屋ウィメンズマラソン結果
2位 田中 智美 (第一生命) 2:23:19
3位 小原 怜 (天満屋) 2:23:20
4位 清田 真央 (スズキ浜松AC) 2:24:32
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28位 小田切 亜希 (天満屋) 2:35:55
35位 関野 茜 (今治造船) 2:38:00
37位 那須川 瑞穂 (ユニバーサルエンターテインメント) 2:40:59
欠場 吉田 香織 (ランナーズパルス)
今年、実業団駅伝が2週間開催が早まったので、出場メンバーは出られないですし、前身の2014年の横浜国際女子マラソンは優勝した田中智美選手が世界陸上の代表落ちしているので、この大会に出るメリットは、実業団選手が感じないのは当然だと思います。
吉田選手のように、実業団駅伝に出ない選手は、名古屋よりもさいたまに出た方が、テレビの露出が増えるので、有効であると思うのですが、ほとんどエントリーしませんでした。
3.女性市民ランナーが集まらない
トップ選手もそうですが、
速い一般の女性ランナーはさらに深刻で大幅に参加が減りました。
さいたま国際マラソン 代表チャレンジャーの部
(陸連登録者でフル3時間半以内:過去2年間)
出走者数
第1回 467人
第2回 228人
第1回大会より半減してしまいました。
参加資格がさいたまより17分厳しい大阪国際女子マラソン(3時間13分以内の記録)の出場者は508人だったので、深刻な状況です。
その結果、今年のサブ3(3時間以内で走った)女性ランナーの数は19人で、名古屋の4分の1にも満たない数字で、大阪マラソンよりも少ない数字になっています。
2016年サブ3達成者(女性のみ)
名古屋ウィメンズマラソン 87人
大阪国際女子マラソン 81人
東京マラソン 58人
大阪マラソン 21人
さいたま国際マラソン 19人
大阪国際はエリートランナーだけの特別な舞台、名古屋ウィメンズはティファニーが完走賞といった特色がありますが、さいたまに関しては、女性が走りたいと思うような特色が出ていません。
4.テレビ視聴率が低下
第1回のさいたま国際マラソンで、良かった点の1つとして、テレビ視聴率が高かったことが挙げられます。
昨年は、関東地区の視聴率が11.4%で、川内優輝選手が出場した福岡国際マラソン(9.9%)、福士加代子選手が好記録を出した大阪国際女子マラソン(9.6%)を上回りました。
しかし、今年は7.2%と低下してしまい、多額の協賛金を必要としている現状では、厳しい結果となりました。
テレビ視聴率(関東地区)
資料:http://www.videor.co.jp/data/ratedata/top10.htm
第1回さいたま国際マラソン 日本テレビ 11.4%
第2回さいたま国際マラソン 日本テレビ 7.2%
5.協賛金が集まらず、主催者が追加負担
国際マラソンの場合は、通常の市民マラソンと比べると、海外から多くの有力選手を招待しなければいけない分、運営費は億単位で高くなります。他国の大会では優勝賞金がありますが、日本では東京マラソン以外出ませんので、招待選手には多くの報酬を払う必要があります。その他、諸々市民マラソンよりかかります。しかし、一方で、トップランナーが走り、多くの方がテレビで視聴するので、スポンサーを得やすく、より協賛金が得やすいので、それで大会の運営を賄っていたのが、今までの国際マラソンでした。けれど、もう80年代、90年代、30%近い視聴率が当たり前だったマラソンは、現在10%を超えないことが当たり前になっています。横浜国際女子マラソンも、それが原因で大会継続できなくなりました。
さいたま国際マラソンは、市民マラソンと同時開催することで、参加料収入を増やして、賄おうとしていますが、協賛金が思うように集まっていません。(これは、大会ホームページを見ると、協賛企業が他の大会と比べて少ないことがわかると思います。)
http://saitama-international-marathon.jp/
協賛金獲得に苦慮していることは、さいたま市議会でも議論となっています。
以下要点の抜粋です。
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さいたま市 議会 議事録
http://www.kaigiroku.net/kensaku/saitama/saitama.html
平成28年2月26日(金) 午前10時 全員協議会室
予算委員会(文教委員会関係審査)より抜粋
◆スポーツ部長
さいたま国際マラソン開催事業につきましては、平成28年度予算額は2億8,026万4,000円で、平成27年度予算額1億5,014万3,000円に対しまして1億3,012万1,000円の増額となります。本事業は、健康増進を図るとともに、世界のトップレベルの選手の走りを体感し、スポーツに対する意欲、関心を高め、スポーツのまちさいたまを国内外にアピールでき、市民フルマラソンと国際女子マラソンを同時開催するものでございます。
◆井原隆委員
自分自身、今までたくさんのマラソン大会に出てきていますし、市民ランナーの目線も持っています。今回は、議員としての立場でもあり、また、このさいたまシティマラソンからマラソンを始めた一市民ランナーの立場から、このさいたま国際マラソンに関してお聞かせいただきます。
予算額が増額の理由に関して、具体的にお聞かせください。
◎スポーツイベント課長
増額になりました根拠といたしましては、昨年は定員1万人で、サブ4、4時間ということでやりました。今年度におきましては、制限時間6時間で、定員2万人程度で開催できるよう、現在、協議を進めているところでございます。
本市の負担額につきましては、第1回大会の決算見込み額を基本としまして、第2回大会に向けたフルマラソンの制限時間の延長、参加定員の拡大を積算したところ、
事業費支出がおおむね約8億円になったというところでございます。
支出に対する収入について、参加料が約1億8,500万円、協賛金等が2億8,000万円というような見込みの中で、自治体負担金を今回2億8,000万円算出したものでございます。
(略)
◆井原隆委員
協賛金が今年、2億9,000万円から2億8,000万円に減額している理由は何でしょうか。
◎スポーツイベント課長
(昨年)協賛金が1億5,000万円(集まり)、残りの1億4,300万円は読売新聞社が補填することになりました。
そして、今回、1億5000万円のほかに、テレビの中継の関係で1億3,000万円を入れて合計2億8,000万円の協賛金獲得をしたところでございます。
◆井原隆委員
普通の考え方だったら、協賛金がたくさん集まる見込みがあるから、より大きな大会ができるようになるのです。協賛金が集まらなかったら、税金を使ってやるのではなくて、より集める努力をするか、もしくはその規模でやるのが普通なのです。今までと同じ規模で。
なので、足りなかったからもっと予算額を倍増してやればいいのだ、それをさらにビッグイベントという位置づけしていっていいのだ、こういう考え方で、本当に市の見解としてはいいのですか。
◎スポーツイベント課長
まず、国際大会を含めまして、私たちのほうが運営していく中で、当然、市の持ち出し、負担というものを軽減するということは大前提にあると認識しております。そして、今回、協賛金に関しまして、少なかった理由ということで考えられることは、例えば第1回大会ということで企業のほうもどのような大会になるかわからないで様子見をしたという部分もございますし、また、井原委員も走られておわかりのとおり、アップダウンも多かったという中で、有名どころの選手も多少敬遠してしまったというようなところを含めて、協賛金のほうが思ったように集まらなかったという理由が考えられるのかなと思っております。
そういった部分を克服しながら、協賛金集めというものは、我々は、広告代理店だけに任せるわけではなくて、自治体も含めて協力しながら協賛金を集めて、市の負担軽減につながるような態勢というものは考えていかなければいけないというふうに認識しております。
◆井原隆委員
これは経済効果の話なのです。その経済面でアシストしていかなければいけない事業をそもそもこのスポーツ文化局で全部やるという構造が、僕はそれでいいのかなと思うのです。これは、もともとは恐らく市長がやりたいからこういうことをやっているのですよね、さいたま国際マラソン。また、時間も延ばしてという。だったら、そこにひもづくトップセールスでやるべきだと思うのですけれども、その見解に関してはどうでしょうか、所管として。
◎スポーツイベント課長
トップセールスという点につきまして、我々、公務員である職員が、協賛企業をいろいろ引っ張ってくるというのも限界もあるところなのですけれども、そうした中で、今回、第1回大会におきましては、トップスポンサーになりましたりそなホールディングスなどは、市長がいろいろ動かれて、その結果につながったというような成果もございます。
◆井原隆委員
自分は別府大分毎日マラソンを走って、あれはエントリー料も安いのです。8,000円くらいなのです。にもかかわらず、もうTシャツももらえればタオルももらえて、非常に大会運営も行き届いていて、さらに言うとスポンサーは本当に多いのです。本当にいろいろな広告のビラを走りながら見ることができるのです。なので、あのように、自治体が最初はやったにしても、いろいろな協賛企業を集めて、だからこそ大きな大会ができるというのが、僕は自然なマラソン大会の姿だと思うし、それを目指していただきたいのです。========================
今年の2月の議論なので、当時は大会参加料10800円で計上していたようですが、結局、協賛金が思うように集められなかったのか、大会参加料15000円に増額して対応したと思われます。
この議会の内容を読むだけでも、主催の読売新聞、日本テレビ、さいたま市、そして、特別協賛のりそな銀行、かなり無理して大会運営費を捻出していることがわかります。
6.国際マラソンを諦めて、市民マラソンに移行を
有力選手が集まらず、国際マラソンの注目度が低く、これ以上継続すれば、さいたま市の負担が増える一方です。そして、国際マラソンが故に、埼玉の独自色も失われた大会となっています。
埼玉らしい大会で、費用を抑えた大会にするには、お金はほとんど負担していない埼玉県が中心となることが大事だと思います。
そして、埼玉県庁の川内優輝選手がコース監修して、川越などを周辺自治体を含めた広域的なコースで開催すれば、自治体の負担額が分散されて軽減されると思います。
そして、埼玉の地元企業が協賛金を出しやすい体制に変えて行うのがのぞましいと思われます。
2016さいたま国際マラソン 結果(ラップタイム) http://bit.ly/2fvuV47
1 件のコメント:
◼地域住民無視の運営
第三回目の大会が迫り、コース道端の告知(看板)には『大会当日はこの道路は通行止めです(要点のみ)』。そこで疑問が…。
当日とは11月12日の24時間でしょうか?そんなはずはあり得ません。一回目は大まかに規制時間が記されていましたが、昨年の二回目からは規制時間の表示が消えました。運営本部の横柄さを感じます。
他にも大会当日の運営管理にはいくつもの疑問を感じるものがあります。この事は地域住民や商店、コンビニの店長も同様の不満を示しています。
大会そのものの反対や中止を求めるものでは決してありません。
地域住民や、普段から同コースを生活道路として使っているドライバーが不自由を覚えることがないよう『多くの人から支持される運営』を心がけて頂きたいものです。
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