2012年12月14日金曜日

第1回富士山マラソン渋滞問題の整理

2012年11月25日(日)は、大阪、神戸、つくば、瀬戸内海、富士山と4つのフルマラソンが行われましたが、河口湖マラソンからリニューアルして行われた富士山マラソンでは、数千人のランナーが渋滞に巻き込まれてスタートできないというトラブルが発生しました。

原因は明らかで、昨年まで1万3000人だった定員を、1万人増やして2万3000人で行ったことで、収容能力を完全に超えていました。

23,000人規模より大きな大会は以下の大会だけで、
・東京マラソン
・マラソンフェスティバルナゴヤ (名古屋ウィメンズマラソン+名古屋シティマラソン)
・大阪マラソン
・かすみがうらマラソン
・NAHAマラソン
・湘南国際マラソン

同日の神戸マラソン(2万人)、つくばマラソン(1万6千人)や、青梅や北海道、長野といった交通の便が良いところで行われる大会よりも、定員を増やしてしまったのは、明らかにこのような事態が想定できたはずですが、なぜそうなってしまったのでしょうか。

なぜ1万人増やしたのか?

通常、マラソン大会は、自治体が主催するケースが多いので、ある程度税金が投入されつつ、収支がトントンになる運営を目指すため、ある程度、滞りなく運営ができる規模で定員を設けますので、極端な定員増は、しない傾向にあります。

※主要な大会では、湘南国際マラソンが税金を投入せず運営している大会で、キャパシティオーバーな時もありましたが、今はかなり改善されてよい大会になっています。

ところで、主要スポーツ新聞は、報知は青梅、サンスポは千葉(軽井沢、川越等もあり)、スポニチは山中湖、ニッカンは河口湖(現富士山)と人気マラソン大会を主催しています。

ただし、ホームページを見ると、主催の一番目は、自治体や陸協となっていて、富士山マラソンのみ、新聞社が一番目にきています。

それが通常、問題という訳ではないのですが、収益を重視せざる得ない状況にあったと考えられます。

青梅マラソン
青梅市/社団法人東京陸上競技協会/青梅市陸上競技協会/一般財団法人青梅マラソン財団/報知新聞社

千葉マリンマラソン
千葉市陸上競技協会/サンケイスポーツ/産経新聞

山中湖ロードレース
山中湖村/スポーツニッポン新聞社

富士山マラソン
日刊スポーツ新聞社/富士河口湖町/山梨陸上競技協会


また、参加定員をみると、23000人なると、スポーツ紙関係の大会では一番の規模になります。

【報知新聞】 青梅マラソン 定員20,000人 (10km5000人と30km15000人 2時間の時差あり)
http://www.ohme-marathon.jp/

【サンスポ】 千葉マリンマラソン 定員18,000人
http://www.chibamarathon.jp/index.html

【スポニチ】 山中湖ロードレース 定員13,000人
http://www.yamanakako-roadrace.com/index.php

【日刊スポーツ】 富士山マラソン 定員23,000人 (河口湖マラソン 定員13,000人)
http://www.fujisan-marathon.com/

さらに、新たなコースで行う場合、コース設定、距離計測、運営マニュアルの作成、さらにコースが西湖まで拡大したため、スタッフの増員など、例年よりも、追加費用が莫大にかかることも容易に想像できます。

支出に見合う規模が2万3000人だったのかも、しれません。


ただ、残念なのは、昨年の1万3000人規模でも、大変な混雑だったので、1万人増やすのは無理と、現場の声が上がらなかったのか、上がっても無視されたのか。その点は、気になります。

また、マラソン大会において、このような事態にならないようブレーキ役となるのが道路使用許可の権限がある都道府県警察なのですが、今回はそのまま許可が出てしまいました。

(※京都マラソン開催に当たっては、京都府警察と大会事務局とかなりの交渉がありました。)


マラソン難民を生んだ悲劇?

続いて参加者側の立場で、今回の件を考えてみます。


11月25日は、大阪マラソン、神戸マラソン、つくばマラソンが開催されました。

つくばマラソンは都心から日帰りで参加することができるため、エントリー開始日には締め切られました。

大阪・神戸は抽選で、大阪か神戸に出場しようと、補欠抽選まで待った場合は、つくばマラソンのエントリーは間に合いません。 

結局、つくばに申し込めなかった人、大阪・神戸に落選した人は、秋口にフルマラソンを走ろうと思った場合、8月以降では、制限時間が緩い大会は、富士山マラソンしか選択肢がなかったことになります。

つまり、大阪・神戸・つくばと比べると、この大会にどうしても出たかったと思ってエントリーした人の割合が少なかったと考えられます。ということは、リピーターと比べて会場の混雑具合などの認識が薄い人が多かったと想定されます。

実際、私は、大阪・神戸に抽選にはずれて、富士山マラソンのエントリーを検討しましたが、2006年に過去1回走ったことがあり、その時は河口湖に宿が取れましたが、今回はすでに河口湖近くの宿の確保が困難でエントリーを断念しました。(幸い、つくばマラソンのレイトエントリーができ、つくばに出場しました。)

河口湖へは、大月から富士急行線ですが、1時間に2本、2~3両編成で、とても多くの人を収容できませんし、新宿等から高速バスもかなり出てはいますが、限りがあります。

したがって、エントリーは、したものの宿泊に困って、やむなく自動車を利用した人が多かったと想像されます。

おまけに、3連休、そして、天気も良く、マラソン以外の観光客も多かったことが、混乱に拍車をかけた格好になってしまいました。


今後は?

今回の件で、富士山マラソンの来年度の開催が非常に厳しい状況になっています。
定員を減らして、駐車場等の改善計画を立てないといけませんが、その場合、収入が減り、費用が増えるので、今までどおり、民間企業主体で開催するのは、個人的には難しいと思っています。

(前夜祭のゲストが豪華すぎるので、その分、削減できそうな気もしますが)

さらに、今回は、高速道路上を走った人がいたり、道路で用をたす人がでたり、地元住民の方にかなり迷惑をかけたと思われますので、地元の方の理解が得られるかも、気がかりです。


景色がよく、適正な規模で行えば、とてもよい大会になるはずだっただけに残念です。

マラソンブームだけに、安易な大会運営には警鐘を鳴らす一方で、ランナーにとっても、アクセス面・宿泊面が大丈夫か事前確認の上、エントリーするなどの対策を講じるとともに、たとえ大会でトラブルが生じて、どんなに腹を立ててもマナーだけはしっかり守らないと、マラソン大会がどんどん減ってしまいます。 私も気をつけたいと思います。

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第1回富士山マラソン参加状況

エントリー数 23,320
フルマラソンの部 16,765
河口湖1周の部   6,555
制限時間内にスタートできなかった人数 4,969
フルマラソンの部 3,673
河口湖1周の部  1,296
(当日キャンセルや会場不着を含んだ人数です。)

富士山マラソンホームページより



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マラソンの記録

【フルマラソン】

◆男子世界記録 2時間00分35秒 ケルビン・キプタム(ケニア) 2023年10月 シカゴマラソン (2分51秒5/km)

◆男子日本記録 2時間04分56秒 鈴木 健吾 2021年2月 びわ湖毎日マラソン(2分57秒7/km)

◆女子世界記録 2時間09分56秒 ルース・チェプンゲティッチ (ケニア) 2024年10月 シカゴマラソン (3分05秒/km)

◆女子日本記録 2時間18分59秒 前田穂南 2024年1月 大阪国際女子マラソン (3分18秒/km)

◆自己記録  3時間37分32秒 2013年12月 青島太平洋マラソン(5分09秒/km)


【100km】

◆男子世界記録 6時間05分35秒 Aleksandr SOROKIN (リトアニア)  2023年5月 Vilnius (LTU) (3分39秒/km)

◆女子世界記録 6時間33分11秒 安部 友恵 (日本) 2000年6月 サロマ湖100kmウルトラマラソン (3分56秒/km)

◆自己記録 12時間13分41秒  2009年6月 サロマ湖100kmウルトラマラソン(7分20秒/km)

記録

【ハーフマラソン】
◆男子世界記録
 57分30秒 Y.ケジェルチャ(エチオピア) 2024年10月(スペイン・バレンシア)(2分44秒/km)
◆男子日本記録 1時間00分00秒 小椋 裕介 2020年2月(香川丸亀国際ハーフ)(2分50秒6/km)
◆女子世界記録 1時間02分52秒 レテセンベト・ギデイ(エチオピア)2021年10月スペイン・バレンシアハーフマラソン (2:58.8/km)
◆女子日本記録 1時間06分38秒 新谷仁美 2020年1月 米国・ヒューストンハーフマラソン (3:09.5/km)
◆自己記録  1時間37分12秒 2013年11月 江東シーサイドマラソン(4分36秒/km)