最近、東洋経済で、以下の記事が出ておりました。
名古屋マラソン大会で介護タクシー巡る疑惑 (東洋経済)
http://toyokeizai.net/articles/-/34408
この件に関して、問題点として、以下の指摘がされています。
東京マラソン
名古屋ウィメンズマラソン
大阪マラソン
湘南国際マラソン
佐倉朝日健康マラソン
長野マラソン
名古屋マラソン大会で介護タクシー巡る疑惑 (東洋経済)
http://toyokeizai.net/articles/-/34408
この件に関して、問題点として、以下の指摘がされています。
- 民間救急の認定を取得していない介護タクシーが負傷者を搬送した。
- 実行委は自力で帰宅できなくなったランナーが出た場合、事業者が自宅や駅へ有料で送り届けることを促していた。
- 「健常者のみを搬送」「営業所以外での運送引き受け」「区域外での運送業務」
その上で
→ ”街を挙げての華やかなイベントの裏で、ランナーの命にもかかわりかねない、ずさんな医療救護態勢が浮かび上がった。”
と 言う内容で締めくくっています。
介護タクシーに関しては、私は不勉強で何も言える立場ではないので、まず、マラソン大会の救護体制とランナーの責任についてまとめてみたいと思います。
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(1)参加するランナーのけが・病気は自己責任が大原則
まず、マラソン大会は、健康で、練習を積んだ状態で参加するのが大前提で、レース中のけがや病気は、主催者側の過失がない限り、自己責任が大原則となっていて、救護体制は、しっかりしている大会もあれば、十分でない大会もありまちまちです。
各マラソン大会の参加者に対しての注意事項
東京マラソン
- レース出場に際しては十分なトレーニングを行い、自己の責任において健康状態を確認してください。
- 体調が悪い場合は、決して無理をせずに出走を辞退してください。レース中でも体調に異常を感じたら、無理せずに、勇気をもって棄権するよう心掛けてください。
- 競技中の事故については応急処置のみ行います。それ以上の責任は負いません。なお、大会参加中の死亡、傷害事故について、見舞金が支給される場合があります。大会終了後、東京マラソン財団まで、ご連絡ください。
名古屋ウィメンズマラソン
- 競技中の事故については応急処置のみ行います。大会開催中の事故、傷病への補償は大会側が加入した保険の範囲内になります。
- 各救護所は、救命処置を重視した体制で運用され、競技中の傷害については応急処置のみ行います。それ以上の処置及び責任は負いかねますので各自十分にご注意ください。
大阪マラソン
- 主催者は、疾病や紛失、その他の事故に際し、応急処置を除いて一切の責任を負いません。
湘南国際マラソン
- 大会参加に際しては、十分トレーニングし、事前に健康診断を受診するなど、体調には万全の配慮をした上で参加してください。
- 主催者は疾病、その他の事故・紛失・盗難に際し、応急処置などの対応を行いますが、責任は一切負いません
佐倉朝日健康マラソン
- 競技中の事故については応急処置のみ主催者で行いますが、それ以外の責任は負いませんので各自十分注意してください。当日、体調が少しでも悪い場合は勇気をもって出場を辞退してください。
長野マラソン
- 参加者は各自、事前に医師よる健康診断を受け、自己の責任において健康状態を確認しておいてください。
- 競技中の事故については主催者で応急措置は行いますが、それ以外の責任は一切負いません(なお、参加者全員がスポーツ傷害保険に加入しますが、内科疾患などによる入院などについて保険は適用されません)。
(2)名古屋は、救護体制が充実している大会である。
マラソン中に亡くなる人は、年に数件発生しており、その改善策としては、AEDの配備、ドクターランナーによる監視等で、早期発見・救急車が到着するまでの応急処置を施すことに、重点が置かれています。
したがって、民間救急車を配備する例は、東京マラソン、北海道マラソン 等で、それほど多くなく、名古屋の大会も、他の大会と比べるとむしろ充実しているといえます。
各マラソン大会の救護体制
東京マラソン 民間救急車
大阪マラソン救護所 後半は2キロごとに 2013年10月23日 (読売新聞) http://www.yomiuri.co.jp/running/news/20131022-OYT8T00822.html
スタッフは医師132人ら計約800人で、AEDは昨年より5台多い75台を用意し、1kmごとに配備する。前回、後半でランナーが倒れたことを受けて救護所を前半20kmまでは5~3kmごとに、以降は2kmごとに設置。ランナーの通過後、沿道で待機していたスタッフは順次、後半に回る。
2013北海道マラソンの救護班体制とその稼働状況
(2013北海道マラソン救護班 総括責任者 カレスサッポロ北光記念クリニック 佐久間 一郎 所長)
http://www.hokkaido.med.or.jp/etc/iho/iho_link/pdf/1142-08.pdf
(2013北海道マラソン救護班 総括責任者 カレスサッポロ北光記念クリニック 佐久間 一郎 所長)
http://www.hokkaido.med.or.jp/etc/iho/iho_link/pdf/1142-08.pdf
・民間救急車
救護本部内の民間救急車運行本部の指示により、要救護者をコース上からコース上救護所、救護テントやバックアップ病院に搬送する。コース内に11台配置され、コース内を自由に走行する許可を得ている。看護師が同乗し、GPSを搭載しており、本部で位置が確認可能である。
マラソンフェスティバル ナゴヤ・愛知(名古屋ウィメンズマラソン)の救護体制について
救護所 16ヶ所
2.5kmまたは5km毎に救護所を設置します。医師、看護師、トレーナーが常駐しますが、消炎剤やコールドスプレーによる処置は実施しません。
民間救急搬送車
全ての救護所に民間救急搬送車を配置し、傷病者を医療機関およびフィニッシュ会場へ搬送します。また、ランナーの自己負担(有料)になりますが、自宅や駅などへ搬送もします。
湘南国際マラソン 救護
■リタイヤ基準について
コース上及び救護所で救護スタッフから補助を受けなければレース続行不可能な場合はリタイヤとみなし失格といたします。
■ドクターランナーについて
本大会では、医師・看護師・救急救命士他救護スタッフがランナーの救護対応を行いますが、医師資格をお持ちのランナーでレース中の傷病者の救護対応にご協力を頂ける方を募っております。ゴール横救護所にてドクターワッペンを配布しておりますので、シャツの前後に貼ってレースにご参加頂けると幸いです。ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。
2013いびがわマラソンの救護医療体制
スタート・ゴールをはじめ、コース上に 7 ヵ所。 医師や看護師が常駐し、けがや病気の対応をします。 コース上でけがをしたり、具合が悪くなったりした 場合は各救護所から救護車両が迎えにいきます。 お近くのスタッフにお申し出ください。
長野マラソン 大会概要決まる
http://naganomarathon.gr.jp/news16/news/2014/03/post-5.html
大会当日はこれまでと同様に救護態勢に力を入れる。20キロ以降はほぼ1キロごとに、自動体外式除細動器(AED)を持ったサポート班を配置。さらにAEDを背負った自転車隊が4班でコース内を巡回するなど、万が一に備えて万全を期す。
http://naganomarathon.gr.jp/news16/news/2014/03/post-5.html
大会当日はこれまでと同様に救護態勢に力を入れる。20キロ以降はほぼ1キロごとに、自動体外式除細動器(AED)を持ったサポート班を配置。さらにAEDを背負った自転車隊が4班でコース内を巡回するなど、万が一に備えて万全を期す。
→ 介護タクシーの利用の仕方には改善の余地がある
(1),(2)を踏まえると、名古屋ウィメンズマラソン、名古屋シティマラソンの救護体制に関しては、充実していますが、なぜ介護タクシーを利用することになったのか、という面では、記事の指摘のように不透明な部分があったと思います。
他の大会では、重病者は救急車で病院に搬送されますが、それ以外の治療を受けて、レースを棄権したランナーは、自分の荷物があるので、大会関係車両、収容車(バス、ワゴン車)で、ゴール地点まで(無料で)搬送されます。
そもそも、お金を持って走るランナーは少ないので、タクシーを利用して戻る人は、皆無です。(ゴール地点の救護所であれば、可能性があります。)
マラソン大会自体は、自治体の財政負担がなければ、基本赤字です。企業のボランティアに頼る部分も大きいです。今回のケースは、委託かボランティアか不明確な部分もあり、ルールづくりは必要かと思います。
(1),(2)を踏まえると、名古屋ウィメンズマラソン、名古屋シティマラソンの救護体制に関しては、充実していますが、なぜ介護タクシーを利用することになったのか、という面では、記事の指摘のように不透明な部分があったと思います。
他の大会では、重病者は救急車で病院に搬送されますが、それ以外の治療を受けて、レースを棄権したランナーは、自分の荷物があるので、大会関係車両、収容車(バス、ワゴン車)で、ゴール地点まで(無料で)搬送されます。
そもそも、お金を持って走るランナーは少ないので、タクシーを利用して戻る人は、皆無です。(ゴール地点の救護所であれば、可能性があります。)
マラソン大会自体は、自治体の財政負担がなければ、基本赤字です。企業のボランティアに頼る部分も大きいです。今回のケースは、委託かボランティアか不明確な部分もあり、ルールづくりは必要かと思います。
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