ただ、今年の北京五輪のB標準である2時間18分の突破者の数を調べると、1位のケニアが331人で断トツであるが、2番目に多いのが、日本で85人である。韓国、イタリア、スペインといった過去に金メダルを獲得した経験のある国が10人台であることを考えると、層の厚さを考えれば、世界レベルといえる。
問題は、2時間10分未満、2時間8分未満の選手の全世界に占める割合を見ると、ケニアは60.6%、64.3%と高くなる一方で、日本は9.6%、2.4%と低くなっている。つまり、日本は一流選手はたくさんいるが、超一流選手はごく限られているということを示している。
これは、日本の駅伝の文化によって、10キロ前後を走れる選手は、実業団によって生活が保障されていることで、マラソンで頑張るモチベーションが他の国よりも希薄になっていることが影響していると考えられる。一方、ケニアの選手は、世界中の大会で、優勝賞金を目指して、フルマラソンに参加していることを考えると、超一流選手が生まれる国とそうでない国の差がはっきり感じられる。
マラソンは、体調管理等を考えると、スポーツや短距離等の他の陸上競技と比べて、海外で結果を残すのが、難しい競技であると思われ、実際、世界を転戦して活躍する日本人ランナーはごく少数である。しかし、強くなるためには、海外の大会に積極的に参加することが必要であり、そのためには、日本選手が海外で走ることの障害を取り除き、インセンティブを与えるような仕組みが必要であると考えられる。
北京五輪マラソン参加標準記録突破人数 (男子)
(2006年9月~2008年7月までに、2時間18分以内の記録を出した者)
1位 ケニア 331名
2位 日本 85名
3位 エチオピア 62名
4位 米国 38名
5位 モロッコ 23名
6位 中国 17名
7位 ウクライナ 16名
8位 メキシコ 15名
9位 韓国 14名
10位 ブラジル 13名
10位 タンザニア 13名
12位 南アフリカ 12名
13位 エジプト 11名
13位 ロシア 11名
15位 イタリア 10名
16位 ジンバブエ 9名
17位 フランス 8名
18位 エリトリア 7名
18位 ポーランド 7名
18位 カタール 7名
21位 カナダ 6名
22位 ポルトガル 6名
23位 オーストラリア 5名
24位 バーレーン 4名
24位 レソト 4名
24位 オランダ 4名
24位 北朝鮮 4名
28位 べラルーシ 3名
28位 英国 3名
28位 ドイツ 3名
28位 ニュージーランド 3名
32位 エクアドル 2名
32位 フィンランド 2名
32位 グアテマラ 2名
32位 イスラエル 2名
32位 スイス 2名
<以下の国は、1名>
アンドラ、アンゴラ、ブルンジ、ベルギー、ボツワナ、チリ、コンゴ、コロンビア、エストニア、アイルランド、カザフスタン、リベリア、モルドバ、モンゴル、ペルー、スロベニア、スウェーデン、台湾、トルコ、ウガンダ、ベネズエラ
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